健康的な生活習慣が循環器疾患死亡のリスクを低下させるという関連は肥満の有無によって異なるのか?

江口依里


これまでに分かっていること


 我々は、以前、果物、魚、乳製品からのカルシウムの摂取、身体活動、適度なBMIを維持すること、過度の飲酒を控えること、 喫煙しないこと、適度な睡眠時間を取ることを8つの健康的な生活習慣と定義し、その数が多いほど、脳卒中、虚血性心疾患、すべての循環器疾患により死亡する危険性が低くなることを明らかにしました(Eur Heart J 2012掲載)。

 そこで今回は、この健康的な生活習慣の循環器疾患への影響が、肥満があってもなくても認められるのかどうかを明らかにすることを目的としました。結果が専門誌(Prev Med 2014年、62巻142-9ページ)に掲載されましたので、概要をご紹介します。


今回の研究の結果

図1 肥満の有無別、健康的な生活習慣の数とその後の循環器疾患による死亡をまぬがれた率

図2 肥満の有無別、健康的な生活習慣の数とその後の虚血性心疾患による死亡をまぬがれた率


 79歳の男性18,730人と女性24,216人を2009年まで約19年間追跡したところ、全体で2,412人が循環器疾患にて亡くなりました。 男女とも、肥満の有無にかかわらず、全ての良い健康習慣を実行している人(健康生活習慣スコア6-7点)では、最も低い人(0-2点)に比べて全循環器疾患で亡くなる危険性が最も低くなっており、虚血性心疾患により亡くなる危険性、脳卒中により亡くなる危険性についても同様な傾向が認められました。しかしながら、虚血性心疾患により亡くなる危険性については、肥満がある人よりも、ない人のほうが、健康的な生活習慣との関連が強く認められました。


今回の研究のまとめ


 今回の研究の結果、肥満があってもなくても、他の健康的な生活習慣を心がけることによって、循環器疾患の予防に効果的であるということが認められました。ただ、虚血性疾患によって死亡する危険性を低くするには、肥満を解消することが重要である可能性が考えられました。

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