日本人男性における喫煙・飲酒習慣と食道がん死亡(その1)

坂田 清美


 喫煙と飲酒は食道がんの危険要因であることが報告されていますが、喫煙習慣、飲酒習慣がそれぞれどの程度食道がん死亡に影響しているのか、という疑問を明らかにするために、大規模コホート研究において、約10年間の追跡調査を行った結果を専門誌に発表しました。(J Epidemiol 2005; 15 Suppl 2: S212-S219.)


 今回の研究では、年齢40-79歳、がんの既往歴がなく、喫煙・飲酒習慣のデータが揃っている日本人男性42,578名を1988年から1999年まで追跡し、100名の食道がんによる死亡を把握しました。研究開始時には、アンケートで喫煙習慣ならびに飲酒習慣についてお尋ねしています。


 ●喫煙習慣については、吸わない、過去に吸った、現在吸う、の3群に分け、喫煙者については1日の喫煙本数を1-10本、11-20本、21-30本、31本以上に分けました。また、喫煙年数を25年未満、25.1-35.0年、35.1-45.0年、45.1年以上に分けました。


 ●飲酒習慣については、飲まない、過去に飲んだ、現在飲む、の3群に分け、1日の飲酒量を1合未満、1.0-1.9合、2.0-2.9合、3合以上に分けました。また、飲酒年数を25年未満、25.1-35.0年、35.1-45.0年、45.1年以上に分けました。さらに、アルコールの種類(日本酒、焼酎、ビール、ウィスキー、ワイン)についても複数回答で調べました。


1)喫煙習慣は、どのくらい食道がん死亡に影響しているのでしょうか。


 まず始めに、たばこを吸わない人と吸う人を比べてみると、吸わない人に対してたばこを吸う人では、食道がんで死亡するリスクが約4.4倍高いことが分かりました。 


 また、図1に示すように、喫煙年数に注目すると、たばこを吸わない人に対して、25.1年以上吸っている人では、約3.5倍~5.3倍食道がんで死亡するリスクが高いことが分かりました。


2)飲酒習慣は、どのくらい食道がん死亡に影響しているのでしょうか。


 まず始めに、酒を飲まない人と飲む人を比べてみると、飲まない人に対して飲む人では、食道がんで死亡するリスクが約2.4倍高いことが分かりました。


 また、図2に示すように、1日あたりの飲酒量に注目すると、飲まない人に対して1日に2合~3合未満飲む人で約3.7倍、3合以上飲む人では、約6.4倍食道がんで死亡するリスクが高くなることが分かりました。飲酒については、飲酒年数よりも飲酒量が食道がんの死亡に影響を与えることが分かりました。


今回の研究結果から


 ・食道がんは、喫煙と飲酒が強力な危険要因であることが、改めて確認されました。特に、喫煙と飲酒の両方の危険要因を持っている人で、極めて発症の危険が高まります。


 ・野菜や果物の摂取が、食道がん発症の危険を低下させることも分かっているので、結論として、禁煙し、多量飲酒を控え、野菜や果物を積極的に摂取しましょう。

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