野菜・カロテンの摂取と前立腺癌の罹患

梅澤光政


 アブラナ科の野菜(ブロッコリーなど)をはじめとした野菜を摂取することや、緑黄色野菜に多く含まれるカロテンを摂ることが、前立腺癌の罹患に関係することが欧米の研究で明らかになってきました。しかし、欧米人に比べて野菜の摂取量が多い日本人においても、そのような関係がみられるかは明らかになっていません。そこで、野菜の摂取頻度やα-カロテン、β-カロテンの摂取量が前立腺癌の罹患にどれだけ影響をするのか、約16年間の追跡調査をもとに分析しました。そしてその結果を国際専門誌に発表しました(British Journal of Cancer誌110巻792-796 2014年)


野菜の摂取頻度と前立腺癌罹患の関係は限定的である


 アンケートで日々の食生活についてお尋ねし、その結果から1週間あたりの野菜の摂取頻度を求めました。摂取頻度の少ない人から多い人へ5つのグループ(5分位)に分け、その後、前立腺癌に罹患した人の割合を比べました。野菜を摂る頻度が最も少ないグループに比べ、2番目に多いグループでは前立腺癌に罹患するリスクが45%低下しましたが、最も多いグループでは有意なリスクの低下は認められませんでした。また、野菜を緑黄色野菜とその他の野菜に分けて分析しましたが、それぞれの摂取と前立腺癌罹患との間に有意な関連を認めませんでした。


α-カロテンは前立腺癌罹患を減少させる


 同様の方法で、α-カロテン、β-カロテンの摂取と前立腺癌罹患の関係についても調べたところ、α-カロテンでは、最も摂取量が少ないグループに比べ、2番目に摂取量が少ないグループ、最も摂取量が多いグループで前立腺癌罹患のリスクがそれぞれ50%、54%低下しました。一方、β-カロテンは前立腺癌罹患との間に有意な関連を認めませんでした。


この研究の意義と解釈


 日本人において、α-カロテンの摂取を増やすことが、前立腺癌に罹患するリスクを下げるために大切であることが示されました。


 また、野菜の摂取頻度も、摂取頻度を上げることで前立腺癌に罹患するリスクを下げる可能性を示しました。この研究結果からは、野菜を1日2回以上食べることが望ましいと考えられます。

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