高塩分食品の嗜好および摂取頻度と胃癌罹患の関連

梅澤光政


 食塩そのものや塩蔵品の摂取が胃癌の罹患に関係することが日本や欧米の研究で明らかになってきました。また、近年になり、中国や韓国の人々を対象とした研究により、塩味を好む者では胃癌の罹患リスクが上昇することも報告されています。しかし、日本人においても、そのような関係がみられるかは明らかになっていません。そこで、日本人において、食塩の濃い食品を好むことや食塩の摂取が胃癌の罹患リスクにどれだけ影響をするのか、約14年間の追跡調査をもとに分析しました。そしてその結果を国際専門誌に発表しました(Journal of Epidemiology誌in press)


高塩分食品を強く好む者では胃癌罹患のリスクが高くなる


 アンケートで日々の食生活や嗜好についてお尋ねしました。その中で尋ねた、食塩の濃い食品を好むかについての設問の結果(嫌い~大好きまでの5段階)に従い、対象者を5つのグループに分け、その後、胃癌に罹患した人の率を比べました。設問に対し、「普通」とした人に比べ、「大好き」と答えた人では、胃癌に罹患するリスクが31%高いという結果でした。「好き」と答えた人では有意なリスクの上昇は認めませんでした。


味噌汁の取りすぎは胃癌罹患のリスクを上昇させる


 味噌汁の摂取頻度への回答に基づいて、対象者を7つのグループに分け、その後、胃癌に罹患した人の率を比べました。胃癌に罹患した人の率が最も低かった、「月に数回」と答えたグループに比べ、「毎日3杯」と答えたグループと「毎日4杯以上」と答えたグループでは、胃癌罹患のリスクがそれぞれ67%、64%高いことがわかりましたた。


食塩の摂取は胃癌罹患のリスクを上昇させる


 食生活への回答に基づいて、1日あたりの食塩の摂取量を求めました。そして、摂取量の少ない人から多い人へ5つのグループ(5分位)に分け、その後、胃癌に罹患した人の率を比べました。最も摂取量が少ないグループに比べ、3番目に摂取量が少ないグループ、最も摂取量が多いグループで胃癌罹患のリスクがそれぞれ36%、51%高いことがわかりました。


この研究の意義と解釈


 日本人において、高塩分食品を強く好む人、味噌汁の摂取頻度が1日3杯以上の人では胃癌罹患のリスクが高いことが明らかとなりました。そして、食塩の摂取が胃癌罹患のリスクと関連することが示されました。


 この研究結果からは、高塩分食品を避けること、味噌汁は1日1杯程度とすること、食塩の摂取をより少なくすることが、胃癌の予防のために望ましいと考えられます。

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