コーヒー摂取と大腸がん罹患

山田宏哉


 嗜好品として親しまれているコーヒーには様々な成分が含まれています。その中には健康に害を与えるものがある一方、含まれている抗酸化物質など炎症を抑制する効果もあると考えられています。大腸がんの罹患リスクとコーヒー摂取の関連については、ヒトの集団を対象とする疫学研究の結果は一致していません。また、その多くは欧米を中心に行われた研究です。そこで、JACC Studyのデータを用い、コーヒー摂取と大腸がんリスクとの関連を検討し、専門誌に報告しました。


男性において1日4杯以上のコーヒー摂取で大腸がんの罹患リスクが上昇


 大腸の中でも口に近い部分(結腸)と肛門に近い部分(直腸)とでは、がんの危険度に生活習慣が及ぼす影響が違うと言われていますので、結腸がんと直腸がんに分けて解析しました。今回の検討では、コーヒーの摂取状況の情報が得られた42,626人(男性16,751人、 女性25,875人)を1988年から2009年まで追跡したところ、447人(男性229人、女性218人)が大腸がんに罹患されました。コーヒー摂取量により1日1杯未満、1杯、2-3杯、4杯以上の群に分け、1杯未満の方たちを基準にして大腸がん罹患のリスクを算出しました。 ベースライン調査において、男性ではコーヒー摂取が1日1杯以下の群に比べて、1日2~3杯の群でリスクが1.55倍、1日4杯以上の群でリスク が2.19 倍となり、男性では結腸がんの罹患リスクと有意な関連が認められました(図1)。一方、女性では有意な関連は認められませんでした。

【図1.コーヒーの摂取頻度と結腸がん罹患(男性)】


 今回の結果では、男性において1日4杯以上のコーヒー摂取は結腸がんの罹患リスクと有意な関連が認められました。けれどもこの研究のみで、コーヒー摂取と結腸がん罹患の関連を結論付けることはできません。これまでの研究で、喫煙、飲酒、赤身の肉などは、大腸がん発症に関連する要因として知られています。今回の研究はこれら要因の影響を考慮して結果を算出していますが、すべての影響を除去できたわけではありません。最終的な結論を導くには、今後も多くの研究を積み重ねていくことが必要です。

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