鉄、銅、亜鉛摂取と2型糖尿病発症との関係

Ehab S Eshak


 食事の改善は、近年の国内外の健康課題である糖尿病の改善に有用であることが示されていますが、主要な微量元素である鉄や銅、亜鉛摂取と2型糖尿病についての疫学研究は少なく、特に日本人を対象に実施されたものはありませんでした。これら微量元素は、酵素に対して補助的な役割をする一方で、これら微量元素の摂取量の多寡は糖尿病を引き起こす可能性が示されています。そこで、JACC Studyでは、食事についてのアンケートの有効回答が得られた40~79歳の日本人男女16,160名を対象として、これら微量元素摂取量と5年後の2型糖尿病発症リスクとの関係を分析し、その結果を専門誌に発表しました。(Clinical Nutrition. 2017 印刷中)。


鉄の摂取量が多いと、2型糖尿病発症リスクが高い


 本研究の結果、鉄の摂取量が多いと、2型糖尿病発症リスクが高いことがわかりました。鉄の摂取量が最も少ないグループに比べ、最も多いグループではそのリスクが1.33倍でした(図1)。



銅の摂取量が多いと、2型糖尿病発症リスクが高い


 また鉄の摂取量と同様に、銅の摂取量が多いと2型糖尿病発症リスクが高いこともわかりました。銅の摂取量が最も少ないグループに比べ、最も多いグループではそのリスクが1.55倍でした(図2)。



亜鉛の摂取量が多いと、2型糖尿病発症リスクが低い


 一方で、亜鉛の摂取量が多いと2型糖尿病発症リスクが低いことがわかりました。亜鉛の摂取量が最も少ないグループに比べ、最も多いグループではそのリスクが0.65倍でした(図3)。



まとめ


 本研究において、鉄、銅の摂取量が多いと2型糖尿病発症のリスクが高く、一方で亜鉛の摂取量が多いと糖尿病のリスクが低いことがわかりました。さらにこの関係は、高齢者、過体重(Body mass index 25㎏/m2以上)、喫煙者、糖尿病家族歴のある方でより明確に認められました。

 鉄、銅が多く、亜鉛が少ないことが糖尿病に関連している理由として膵臓のインスリン分泌を行う細胞に影響し、インスリン分泌の低下、インスリン抵抗性の増長をするなどといったことが考えられます。

 これら微量元素に関するエビデンスはいまだ少ないため、今後さらなる研究成果が集積されることによって、これら微量元素のよりよい摂取の仕方が明らかになると考えます。

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