血中可溶性Fas濃度(sFas)と循環器疾患死亡との関係

磯博康


 可溶性Fas(sFas)は、炎症の過程で細胞死(アポトーシス)の経路に位置しており、循環器疾患に関与している可能性があります。しかしながら、これまでsFasと循環器疾患死亡との因果関係を示すエビデンスは十分にありませんでした。そこで、JACC Studyでは、調査開始時に冷凍保存した血液中のsFas濃度を測定し、循環器系疾患死亡との関連について分析を行い、動脈硬化の専門誌に発表しました(Atherosclerosis. 2017;260:97-101)。


血中sFas濃度が高いと、くも膜下出血による死亡リスクが高い


 本研究の結果、血中sFas濃度が高いと、くも膜下出血による死亡リスクが高いことがわかりました。sFas濃度が最も低いグループに比べ、最も高いグループではそのリスクが約3倍と高い傾向がみられました(図1)。くも膜下出血による死亡者数が少なかったため、1標準偏差(1.3ng/mL)あたりのリスクを求めた結果、約4倍と有意に高い結果が認められました(表1)。




まとめ

 本研究において、血中sFas濃度とくも膜下出血の死亡リスクとの関連が示されました。その他の脳卒中の病型や虚血性心疾患に関しては関連がみられませんでした。先行研究では虚血性心疾患患者やそのハイリスク者においてsFas濃度が高いことが認められており、また別の研究ではsFas濃度が高いほど脳梗塞のリスクが高いことも認められています。sFasがどのような病型の循環器疾患と関連しているかについては、今後の研究成果も踏まえて、判断する必要があります。

 今回の研究結果から、細胞死がくも膜下出血の進展もしくは予後を悪化させる可能性が示されました。

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