食事パターンと食道がん死亡リスクとの関連

岡田恵美子


 私たちが日常で食事をする際には、特定の食品だけではなく、それらを組み合わせて食べています。近年では、個々の栄養素や食品のみならず、食品の組み合わせといった食事全体を捉えるための食事パターンが注目されています。諸外国の研究では、健康的な食事パターンが食道がんリスクを低下させることが報告されていますが、長期間の追跡調査を行った研究はほとんどなく、また東アジア人を対象とした研究はこれまでにありません。

 そこで、この研究では、JACC Studyにおいて、食事パターンが食道がん死亡に与える影響を検討し、学術雑誌(Nutrition Cancer. 2016;68(6):1001-1009)に報告しました。


 JACC Studyに参加した40歳~79歳の男性26,562名を約18.9年追跡したところ、132名が食道がんで亡くなりました。調査票の食品摂取状況を用いて統計解析を実施した結果、以下の3つの食事パターンが同定されました。

 ・野菜パターン(野菜、海藻、いも、大豆製品、きのこ、果物、魚が多い)
 ・動物性食品パターン(肉類、フライ・てんぷら、野菜炒め、干魚が多い)
 ・乳製品パターン(チーズ、ヨーグルト、バター、牛乳、マーガリン、コーヒー、紅茶が多い)

 この食事パターンのスコアの高低で4つの群に分類し、食道がん死亡との関連について、喫煙者と非喫煙者に分けて解析を行いました。


喫煙者において、乳製品パターンのスコアが高いと食道がん死亡のリスクが低下する


 乳製品パターンのスコアが高い場合、喫煙者では食道がん死亡のリスクが低下し、スコアが最も低い群と比較して最も高い群は、食道がんリスクが0.57倍でした。一方、非喫煙者ではこのような関連を認めませんでした。

 乳製品パターンに含まれる牛乳、乳製品、コーヒーは、食道がんリスクを低下させるという報告があります。それらの食品に含まれ、抗発がん作用を持つビタミンD、共役リノール酸、フラボノイドを含むポリフェノールなどが、喫煙者でより強く影響したと考えられます。食道がんのハイリスク者である喫煙者に対して、乳製品パターンが予防的に働くことが示されました。


 野菜パターンは、食道がんとの関連はありませんでした。

 動物性食品パターンのスコアが高い場合、非喫煙者では食道がん死亡のリスクが上昇し、スコアが最も低い群と比較して最も高い群は、食道がんリスクが6.01倍でした。喫煙者ではこのような関連を認めませんでした。

 動物性食品パターンは、食道がんリスクを高める赤肉が多い傾向にあり、それが影響したと考えられます。喫煙の影響とは独立して、動物性食品パターンが食道がんの危険因子である可能性がありますが、非喫煙者の中で食道がんの死亡数が少なかったことから、この関連を明確にするためにさらなる研究が必要です。

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