テレビ視聴時間と肺塞栓症死亡リスクとの関連

白川透


 テレビの長時間視聴は肺に血栓が詰まる病気(肺塞栓症)で死亡するリスクが高い可能性があることが分かりました。成果は国際専門誌に報告しました。(Circulation誌 2016;134:355-7.)


 長時間の座位が肺塞栓症という病気の引き金になることはエコノミークラス症候群として知られています。この肺塞栓症という病気は下肢や骨盤内の血管に血液がうっ滞することで固まって血の塊である血栓を形成し、これが血流に乗って肺に運ばれ、肺動脈という血管を閉塞することで生じます。呼吸困難や胸痛など症状はさまざまですが、場合によっては致死的になります。長時間のテレビ視聴後に肺塞栓症を発症した例はこれまでにいくつか報告されていますが、社会の集団の中でこの関連を調査した研究はありませんでした。


テレビの長時間視聴者は肺塞栓症で死亡するリスクが高い


 今回の調査では、1988年から1990年にかけて行われたアンケート調査において、一日あたりの平均テレビ視聴時間に関する質問に回答した86,024名を対象としました。その後、およそ20年間にわたって参加者の死亡状況を追跡調査し、2009年末までで59名の肺塞栓による死亡を確認しました。これらのデータを解析し、テレビ視聴時間が1日あたり2.5時間未満の人に比べて、2.5~4.9時間の人では肺塞栓症による死亡リスクが1.7倍であり、5時間以上では2.5倍になるという結果が得られました(図1)。また、テレビ視聴時間2時間につき40%の肺塞栓症死亡リスクの増加を認めました。これらの関連は、参加者の生活習慣や健康状況を統計学的に考慮した後の数値です。


研究の解釈と意義


 今回の調査結果は、テレビを見ているときに足を動かしていないことが主な原因であると考えられます。したがって、肺塞栓症を予防するには、エコノミークラス症候群の予防と同様の方法が推奨されます。長時間にわたってテレビ視聴等の足を動かさない状況が続くときは、1時間に1回は立って、5分程度歩いたり、ふくらはぎをマッサージしたりするとよいでしょう。水分摂取を行って脱水を予防することも重要です。

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