テレビ視聴時間及び歩行時間と糖尿病発症との関連

池原賢代


これまで欧米人を対象とした研究において、長時間のテレビ視聴が糖尿病発症リスクを増加させることが報告されていましたが、アジア人ではほとんど検討されていませんでした。また、歩行時間の増加が糖尿病に予防的に働くことが報告されていますが、日本人ではその効果は明らかではありませんでした。そこで、JACC Studyでは、アンケートでテレビ視聴時間及び歩行時間について有効回答が得られた40~79歳の日本人男女25,240名を対象として、テレビ視聴時間及び歩行時間と糖尿病発症リスクとの関連について分析し、その結果を専門誌に発表しました(Prev Med. 2019;118:220-225)。


長時間のテレビ視聴で女性の糖尿病発症リスクが増加


 1日の平均テレビ視聴時間が5時間以上では、2時間未満に比べて、女性の糖尿病発症リスクが1.5倍高いことがわかりました。(図1)男性ではリスク増加は認められませんでした。





長い歩行時間は糖尿病発症リスクに予防的に働く可能性


 1日あたりの歩行時間が長いと糖尿病発症リスクが低い傾向があることがわかりました。(図2)特に、男性でその傾向が強く認められました。





短時間のテレビ視聴と長い歩行時間を組み合わせた生活は糖尿病発症リスクを抑制する可能性


 1日あたりのテレビ視聴時間が5時間以上かつ歩行時間1時間未満の不活動な群に比べて、テレビ視聴時間が5時間未満かつ歩行時間1時間以上の群では、糖尿病発症リスクが28%低いことが示されました。(図3)





この研究の意義


 テレビ視聴時間は、不活動な生活習慣の一つと考えられており、欧米諸国の先行研究で糖尿病発症リスクの増加との関連が報告されています。本研究結果から、日本人においてもテレビ視聴時間が糖尿病発症リスクの上昇と関連することが示されました。一方で、長い歩行時間が糖尿病発症リスクを抑制する可能性が示唆されました。長時間のテレビ視聴など不活動な生活時間を減らし、歩行や運動の時間を増やすなど日常の身体活動レベルを増加させることは、インスリン抵抗性の改善などを介して、糖尿病発症リスクの低下につながると考えられます。

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