血清総コレステロールと循環器疾患死亡との関連

崔仁哲


 高脂血症が循環器疾患などの生活習慣病の原因となることは広く知られています。われわれは文部科学省の助成する大規模コホート研究において、約10年間追跡調査を行った結果、血清総コレステロール値と循環器疾患死亡との関連を見出し、その結果を専門誌に発表しました(Atherosclerosis 2007; 194: 415-420.)。


コレステロールの高値で虚血性心疾患が多い
コレステロール低値で脳内出血が多い

 血清保存を承諾した40~79歳39,242人の方々を1999年末までの約10年間追跡したところ、76人が脳内出血、 150人が虚血性心疾患で亡くなりました。

 この研究では、調査開始時に本人の御同意を得て採取した凍結保存血清を用いて、血清総コレステロールを測定しました。

 血清総コレステロール値160mg/dl未満、160-179、180-199、200-219、220-239、240-259、260mg/dl以上の7群に分け、血清総コレステロール値160mg/dl未満の群の死亡割合(ケース数/コントロール数)を1として、他の血清総コレステロール値群の循環器疾患による死亡割合を比べました(図)。

 血清総コレステロール値260mg/dl以上の群では虚血性心疾患の死亡が高く、血清総コレステロール値160mg/dl未満群に比べ、3.7倍でした。

 一方、脳内出血は血清総コレステロール値が160mg/dl未満群で死亡率が高率でした。


なぜ血清高コレステロールで虚血性心疾患を多く、低コレステロールで脳内出血が多いのか?

 血清総コレステロールが高いことにより、血管壁にコレステロールが沈着し、血管壁が厚くなり、血管がつまりやすくなります。これが虚血性心疾患を起こしやすくなる原因です。逆に血清総コレステロールが非常に低いと血管壁が薄くなって破れやすくなり、脳内出血を起こしやすくなると考えられています。


コレステロールが高い場合はどうしたらよいか? 低い場合はどうしたらよいか?

 血清総コレステロール値が高いときには、主に悪玉コレステロールといわれるLDL-コレステロールが高い場合が多く、肉の脂身、バター等に多く含まれる飽和脂肪酸や卵の黄味に多く含まれる食事中のコレステロールのとりすぎが原因です。肉は量を少なめにして、脂身は調理の際とり除くか、食べないようにしましょう。また、乳製品、バター、洋菓子をとり過ぎないようにしましょう。卵も毎日食べないで週数個にしましょう。

 血清総コレステロール値が非常に低いときは、栄養バランスに偏りのある場合がありますので、肉、牛乳・乳製品、卵等をバランスよくとるように心がけましょう。

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