血清ホモシステインと循環器疾患死亡との関連

崔仁哲


 近年、血清ホモシステイン高値が循環器疾患などの生活習慣病との関連が注目されています。 われわれは文部科学省大規模コホート研究において、約10年間追跡調査を行った結果、血清総ホモシステイン値と循環器疾患死亡との関連を見出し、 その結果を専門誌に発表しました(Atherosclerosis 2008;198;412-418)。 公表されている研究成果へ


ホモシステインの高値で脳卒中、虚血性心疾患、循環器疾患が多い

 血清保存を承諾した40~79歳39,242人の方々を1999末年までの約10年間追跡したところ、310人が脳卒中、 134人が虚血性心疾患で亡くなりました。


 今回の研究では、調査開始時に本人の同意を得て採取・凍結保存した血清を用いて、血清ホモシステインを測定しました。血清ホモシステイン値を対象者が均等になるように10.5 μmol/L未満、 10.5-12.4、12.5-15.2、15.3μmol/L以上の4群に分け、血清ホモシステイン値が最も低い群(10.5 μmol/L未満)の死亡率を1として、他の群の循環器疾患による死亡率と比べました(図1)。血清ホモシステイン値15.3μmol/L以上の群では虚血性脳卒中、虚血性心疾患、全循環器疾患の死亡が高く、血清ホモシステイン値10.5 μmol/L未満群に比べ、それぞれ4.4倍、3.4倍、1.7倍でした。

【図1】血清ホモシステイン値と循環器疾患の死亡


なぜ血清ホモシステイン高値で循環器疾患が多いのか?

 近年、ホモシステインが新たな動脈硬化性疾患の危険因子として注目されています。ホモシステインが酸化される過程で酸素ラジカルを生じ、血管内皮障害と血小板の凝集が起こし、血管壁の平滑筋細胞の増殖やコラーゲン線維の過剰な合成により血管の肥厚、硬化をもたらして動脈硬化をひき起こします。


ホモシステインが高い場合はどうしたらよいか?

 体内の重要な蛋白質構成アミノ酸であるメチオニンの代謝中にホモシステインが生成されます。その代謝の過程でビタミンB6が不足するとホモシステインからシステインへの代謝が低下し、血中ホモシステイン値が上昇します。また葉酸、ビタミンB12が不足してもホモシステインからメチオニンへの代謝が低下して血中ホモシステイン値が上昇することが知られています。したがって、血清ホモシステイン高値は、葉酸、ビタミンB6、ビタミンB12の摂取不足に伴って生じる場合が多いと考えられます。葉酸は野菜・果物・豆類・海草類・緑茶に多く含まれ、ビタミンB12は魚介類・レバーに多く含まれます。葉酸とビタミンB12は水溶性のビタミンなので、日常の食事からとるように心がけましょう。

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