葉酸、ビタミンBの摂取量と循環器疾患死亡との関連(JACC Study)

崔仁哲


 葉酸、ビタミンBの摂取量と虚血性心疾患や脳梗塞リスクとの関連についてはまだ確定しておらず、アジアの人々を対象としたエビテンスも限られています。


 われわれは文部科学省大規模コホート研究において、約14年間追跡調査を行った結果、葉酸、ビタミンBの摂取量と循環器疾患死亡リスクとの関連を見出し、その結果を専門誌に発表しました(Stroke 2010; 41;1285-1289)。


葉酸、ビタミンBの高摂取が脳卒中、虚血性心疾患、心不全の予防につながる

 栄養調査に参加した40~79歳58,730人の方々を2003年末までの約14年間の追跡したところ、986人が脳卒中、424人が虚血性心疾患、318人が心不全で亡くなりました。


 葉酸・ビタミンB摂取量は食物摂取頻度調査(FFQ)を用い、五訂日本食品標準成分表を用いて算出し、それぞれの摂取量をおおよそ1/5ずつ対象者が含まれるような値で区分しました。


 その結果、葉酸は272未満、272~351、352~430、431~535と≧536?g/日、ビタミンB6は0.79未満、0.79~0.96、0.97~1.11、1.12~1.32と≧1.33mg/日、とビタミンB12は4.5未満、4.5~5.9、6.0~7.6、7.7~9.8と≧9.9?g/日の区分となりました。そして、それぞれもっとも値が低いグループ(最低位群)の死亡率を1としたときの、他のグループの循環器疾患による死亡率を推測しました(図)。


 葉酸、ビタミンB6の摂取量が最も高いグループ(最上位群)では、最低位群に比べ、女性では虚血性心疾患死亡リスクが葉酸では43%低下、ビタミンB6では53%低下し、男性では心不全のリスクがそれぞれ50%と61%低下していました。


 また、ビタミンB6摂取量の最上位群は最低位群に比べ、女性の脳梗塞死亡リスクが54%低下しました。しかし、ビタミンB12の摂取量と虚血性心疾患死亡との間に関連は認められませんでした。

【図1】葉酸と循環器疾患死亡との関連

【図2】ビタミンB6と循環器疾患死亡との関連


葉酸・ビタミンB6を毎日の食事からとりましょう

 葉酸は青い野菜、豆類、緑茶などに、ビタミンB6は様々な食品、特に牛や豚、鶏のレバー、魚の赤身、ひまわりの種やピーナッツなどの種実類に、そしてB12は魚介類などの動物性食品に多く含まれます。

 葉酸、ビタミンB6、ビタミンB12が不足すると、血液中のホモシステイン値が上昇します。

 血清ホモシステイン値が高くなると、血管内皮細胞機能の低下や血小板凝集能の亢進(血液が固まりやすくなる)などを引き起こして動脈硬化につながります。循環器疾患の予防のために葉酸とビタミンB6を毎日の食事からとるように心がけましょう。

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