日本人における健康的な生活習慣と循環器死亡

江口依里


 果物、魚、乳製品からのカルシウムの摂取、身体活動、適度なBMIを維持すること、過度の飲酒を控えること、 喫煙しないこと、適度な睡眠時間を取ることの各生活習慣が脳卒中や心筋梗塞等の循環器疾患を予防することがJACC Study の報告より 明らかになっています。(Eur Heart J 2012掲載)。


 欧米においてはこれらの生活習慣の組み合わせた影響について検討されていますが、日本においては検討されていませんでした。 そこで、本研究では、日本人における健康的な生活習慣の組み合わせが、脳卒中、虚血性心疾患、全循環器疾患による死亡リスクに 与える影響を分析することを目的としました。


良い生活習慣の数が多いほど、循環器疾患で死亡するリスクが低い

 40歳~79歳の男性18,747人と女性24,263人を約16年間追跡したところ、それぞれ1012人、895人が循環器疾患にて亡くなりました。 男女とも全ての良い健康習慣を実行している群(健康生活習慣スコア7-8点)では、最も低い群(0-2点)に比べ全循環器疾患で亡くなる リスクが最も低くなっており、男性では約3分の1、女性で約4分の1でした。(図1) この関連は、脳卒中、虚血性心疾患による死亡に分けてみても同様に見られました。


 もし、すべての対象者の健康生活習慣スコアが最も高くなった場合、つまり全員が今回検討した8つの生活習慣すべてをよくした場合、予防できる循環器疾患死亡の割合は男性で52.3%, 女性で44.6%でした。さらに、全ての人が1点ずつだけでもスコアを増やした場合には、予防できる循環器疾患死亡の割合は、男性で26.4%、女性で25.9%でした。


 生活習慣の改善により、循環器疾患死亡のうちの大きな割合を予防できる可能性が示されました。8つの健康な習慣は、果物を毎日食べる、魚を毎日食べる、乳製品からカルシウムを毎日とる、毎日30分以上歩く、BMIを21-25に維持する、過度の飲酒(1日2合以上)を控える、たばこを吸わない、1日6-7時間寝ることです。どれか1つでも改善することでよい影響が出ることが期待されますので、生活習慣を振り返ってみてください。

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