両親の既往歴、生活習慣と脳卒中との関連

江口依里


 果物、魚、乳製品からのカルシウムの摂取、身体活動、適度なBMIを維持すること、過度の飲酒を控えること、 喫煙しないこと、適度な睡眠時間を取ることの各生活習慣が脳卒中や心筋梗塞等の循環器疾患を予防することがJACC Study の報告より 明らかになっています。(J Epidemiol 2012掲載)。


 一方でこれまでの報告では、両親の循環器疾患の既往歴が、子の循環器疾患による死亡リスクに影響するかどうかは明らかとなっておらず、未だ議論の余地があります。本研究では、両親の脳卒中の既往の有無と子の脳卒中での死亡との関連について検討すること、さらに、両親の脳卒中の既往の有無が、生活習慣と脳卒中死亡との関連に与える影響について検討することを目的としました。


家族歴の有無にかかわらず、良い生活習慣の数が多いほど循環器疾患で死亡するリスクが低い

 40~79歳の男性22,763人と女性30,928人を約16年間追跡したところ、それぞれ774人、728人が脳卒中にて亡くなりました。男女とも両親に脳卒中の既往が有る群では、既往がない群に比べて脳卒中で死亡するリスクが全体で約1.25倍高くなっていました。健康的な生活習慣の数と脳卒中での死亡との関連は、両親の脳卒中の既往の有無にかかわらず認められました。(図1) この関連は、脳卒中、虚血性心疾患による死亡に分けてみても同様に見られました。


 両親に脳卒中の既往歴が有ると、子どもが脳卒中で死亡するリスクが高くなることが明らかになりました。一方で、健康的な生活習慣が多いほど、脳卒中での死亡リスクが低いという関係は、両親の脳卒中の既往の有無にかかわらず認められました。したがって、家族歴の有無にかかわらず、生活習慣の改善は脳卒中の予防に効果的であると考えられます。みなさまもご自分の生活習慣を振り返ってみてください。

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