交代勤務と循環器疾患死亡との関連

藤野善久


 交代勤務が循環器疾患、特に虚血性心疾患を増やすかもしれないとの報告は1970年代頃からありましたが、追跡調査を実施した研究は欧米を含めて6編のみでした。そのうち4編では交代勤務が虚血性心疾患を増やすと報告されたましたが、対象集団が少なかったり、虚血性心疾患に影響を与える他の要因を充分に考慮できていませんでした。


 近年、アメリカの女性看護師6万人を追跡した詳細な調査において、交代勤務が虚血性心疾患を増加させることが報告されました。しかしながら、男性と女性では交代勤務の実情や、虚血性心疾患の危険要因が大きく異なるため、男性における交代勤務の影響は未だ不明確でした。


 また、白人以外を対象とした研究もないため、今回、我々は日本人の男性労働において本関連を検討しました。さらに、もしこの関連が本当であった場合に、どのような人たちがより影響が受けやすいかについても検討を実施し、専門誌に発表しました(Am J Epidemiol 2006; 164: 128-135.) 。


不規則な交代勤務では虚血性心疾患による死亡が増加

 調査開始時点で40~59歳の男性17,649 を約10年間追跡したところ、86人の方が虚血性心疾患で亡くなられました。この研究では、追跡開始時に勤務時間に関する状況をお尋ねしています。


 その回答から「主に昼間」、「主に夜間」、「夜昼決まっていない」と働く時間帯にしたがって対象者を3群に分けました。「主に昼間」働く人と比較した場合、「主に夜間」働く人では虚血性心疾患による死亡は1.2倍でしたが、統計的に有意ではありませんでした。


 しかし、「夜昼決まっていない」人では、虚血性心疾患による死亡は「主に昼間」働く人と比べ2.3倍となり、統計的にも有意な違いでした。


高血圧、喫煙、大量飲酒、肥満では、不規則な交代勤務の影響は著しく増加

 本研究ではさらに、どのような人たちがより不規則な交代勤務の影響を受けやすいかについても検討しました。 その結果、高血圧保有者、喫煙する人、大量飲酒者、肥満のある人では、不規則な交代勤務が虚血性心疾患に与える影響が著しく増加することが分かりました。


 本研究の結果、不規則な交代勤務は虚血性心疾患の死亡を増加させることが示されました。

 さらに喫煙者や大量飲酒者ではこの影響が著しく増強されることから、不規則な交代勤務をする労働者では、高血圧、喫煙、飲酒、肥満などの健康管理をより注意する必要があると考えられます。

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