職場における自覚的騒音曝露と脳血管障害との関連                              -JACC Studyの結果から-

藤野善久


 職場における騒音は代表的な有害業務であり、焦燥感、ストレス、不眠といった精神的な影響だけでなく、血圧の上昇、心拍数の増加など循環器系への影響が知られています。最近では、騒音曝露によって虚血性心疾患が増加するとの報告もなされています。脳血管障害は虚血性心疾患と同じような危険要因が知られており、また動脈硬化を主体とする発病機序に共通なところが多いので、本研究では、騒音曝露によって脳血管障害が増えるか否かを検討しました。本研究の成果は、専門誌に発表しました (Fujino Y, et al. J Occup Health 49, 382-388 , 2007)。


職場で騒音がうるさいと感じている人は脳内出血が増加

 調査開始時点で脳血管既往のない40~59歳の勤労男性14,568人を約10年間追跡したところ、98人の方が脳血管障害で亡くなられました。この研究では、追跡開始時に職場における騒音に関してお尋ねし、騒音がうるさいと感じると回答した「騒音あり」とそれ以外の「騒音なし」に分けました。「騒音なし」と比べて「騒音あり」では脳内出血による死亡が2.4倍で統計的にも有意な違いでした。一方で、脳梗塞、くも膜下出血による死亡には違いがありませんでした。


高血圧がある人では、騒音の影響は著しく増加

 本研究ではさらに、どのような人たちがより騒音による影響を受けやすいかについても検討しました。その結果、高血圧保有者において、騒音が脳内出血に与える影響が著しく増加することが分りました。


 本研究の結果、職場における騒音の自覚は脳内出血の死亡を増加させることが示されました。さらに、高血圧保有者では、この影響が著しく増強されることも明らかになりました。このことから、騒音が発生する職場では騒音対策はもとより、特に高血圧保有者の健康管理が必要と考えられます。

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