肝臓がん死亡におけるC型肝炎ウイルス感染と喫煙との相互作用

藤田裕規


 C型肝炎ウイルスの感染は肝臓がん(肝細胞がん)を発生させる主要な要因です。その他にも肝臓がんの発生原因として飲酒や喫煙などがあります。しかしながら、C型肝炎ウイルスに感染した人すべてが肝臓がんに罹患するわけではなく、また喫煙をした人すべてが肝臓がんにかかるわけでもありません。


 そこで、1988年~1990年にJACC Studyに参加された、40歳~79歳までの男性46,465名、女性64,327名、計110,792名を解析対象者とし、 C型肝炎ウイルスの感染と喫煙の二つの要因が肝臓がん死亡にどのように影響しているかを検討しました。その結果を学術雑誌に発表しましたので(Br J Cancer, Vol. 94, 737-739, 2006)、ここではその概要をご紹介します。


C型ウイルスに感染していない者は 喫煙により肝臓がん死亡のリスクが増加する傾向にある

 性、年齢、肝疾患と糖尿病の既往歴と飲酒習慣を考慮した上で、 C型肝炎ウイルスに感染していない人の中で、喫煙と肝臓がん死亡の関連を検討しました。図1のように喫煙しているグループは喫煙経験がないグループと比べ肝臓がん死亡の危険度は約2倍高くなっていましたが、統計学的有意性は認められませんでした。

【図1】C型肝炎ウイルスに感染していない人の中での喫煙と肝臓がん死亡の関連


C型ウイルス感染者は喫煙により肝臓がん死亡のリスクが増加

 次に、C型肝炎ウイルスに感染している人の中で喫煙と肝臓がん死亡の関連を検討しました。図2のように喫煙しているグループは喫煙しないグループと比べると肝臓がん死亡の危険度は約10倍高くなっていました。

【図2】C型肝炎ウイルスに感染している人の中での喫煙と肝臓がん死亡の関連


 以上、喫煙はC型ウイルスの感染がない人に対して肝臓がん死亡の危険度を高くする傾向にありました。

 さらに、C型ウイルス感染者では喫煙することにより肝臓がん死亡の危険度がさらに高くなる結果となりました。喫煙自体、肝臓がん死亡の危険度を高くすると考えられますが、C型ウイルス感染者ではその危険度はさらに、そして確実に高くなります。喫煙をしないことは肝臓がんの重要な予防の一つであることが示唆されました。

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