両親の死亡年齢と本人の死亡リスクとの関連

池田愛


 米国やヨーロッパの研究では、短命な両親を持つ人は、長生きの両親を持つ人に比べて死亡リスクが高いと報告されています。親から受け継ぐ体質だけでなく、親の死亡年齢は、子の職業などの社会経済要因、喫煙や多量飲酒などの不健康なライフスタイルへの影響があり、これらが原因となって、短命な両親を持つ人の死亡リスクを上昇させるのではないかと考えられています。


 しかしながら、日本人について、親の死亡年齢と子の死亡の関係を調べた報告は今までにありません。そこで、両親の死亡年齢と本人の死亡リスクとの関連について、文部科学省の助成する大規模コホート研究において、約10年間の追跡調査を行った結果をまとめ、専門誌に発表しました (J Intern Med 2006; 259: 285-295.)。


父親の死亡時年齢が高いと死亡リスクが低下する

 この研究では、追跡開始時にアンケートで、両親の生死に関してお尋ねしており、その質問に回答した40~79の男女(父親の死亡年齢に関する分析では53,906人、母親に関する分析では55,988人)について、両親の死亡年齢と本人の死亡との関連を分析しました。

 父親の死亡年齢が80歳以上の人では、父親の死亡年齢が60歳未満の人に比べ、死亡のリスクが低く、男性の循環器疾患では0.7倍、がんでは0.9倍、全死亡では0.8倍でした。女性ではそれぞれいずれも0.8倍でした。


 また、母親の死亡年齢が85歳以上の人では、母親の死亡年齢が65歳未満の人に比べて、特に循環器疾患による死亡のリスクが低く、男性では0.7倍、女性では0.8倍でした。

【図1】父親の死亡年齢と本人の死亡(男性)

【図2】父親の死亡年齢と本人の死亡(女性)

【図3】母親の死亡年齢と本人の死亡(男性)

【図4】母親の死亡年齢と本人の死亡(女性)


 今回の結果より、親子間、特に父親の死亡年齢と本人の死亡との関連があることがわかりました。この関連は、親子で共通の遺伝要因、生活習慣・社会環境要因を危険因子として有するためと考えらます。実際、今回の研究では、親の死亡年齢が低い者ほど、喫煙や多量飲酒などの不健康な生活習慣を多く有していることが示されており、、危険因子を多く持つ可能性があるこの集団への健康教育は、循環器疾患・がんなどの予防の上で重要であると考えられます。

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