血清高感度C反応性蛋白と循環器疾患死亡との関連

磯博康


 血清高感度C反応性蛋白(CRP)と脳卒中や心筋梗塞などの動脈硬化性疾患との関連が注目されています。


 われわれは文部科学省大規模コホート研究において、約13年間追跡調査を行った結果、 血清高感度CRP値と循環器疾患死亡との関連を見出し、 その結果を専門誌に発表しました(Atherosclerosis 2009;207;291-297)


高感度CRPの高値で脳卒中、虚血性心疾患、循環器疾患が多い

 血清保存を承諾した40~79歳39,242人の方々を1999年末までの約13年間の追跡したところ、525人が全脳卒中(その中294人が虚血性脳卒中)、209人が虚血性心疾患で、両疾患もあわせると循環器疾患全体で939人が亡くなりました。


 この研究は、調査開始時にご本人の同意を得て採取した凍結保存血清を用いて、血清高感度CRPを測定しました。


 血清高感度CRP値を男性では0.19 未満、0.19-0.37、0.38-0.84、0.85 mg/L以上、女性では0.19 未満、0.19-0.40、0.41-0.92、0.93 mg/L以上の4分位に区分し、血清高感度CRP値0.19 mg/L未満の群の死亡率を1として、他の血清高感度CRP値群の死亡率と比較しました(図1と2)。


 血清高感度CRPの最高値群では脳卒中、虚血性心疾患、全循環器疾患の死亡リスクが高く、血清高感度CRP値0.19 mg/L未満群に比べて、男性ではそれぞれ2.0倍、3.7倍、2.3倍でした。女性では虚血性脳卒中のリスクは高かったものの有意な差ではなく、全循環器疾患の死亡のみが1.7倍と有意な関連を示しました。

【図1】血清高感度CRP値と循環器疾患死亡との関連(男性)

【図2】血清高感度CRP値と循環器疾患死亡との関連(女性)


 また、血清高感度CRP値が高いと循環器疾患死亡のリスクが高くなると傾向は性や年齢群、 喫煙や肥満の有無に関わらず観察されました。


なぜ血清高感度CRP高値で循環器疾患が多いのでしょうか?

 CRPは外傷や手術などの組織障害や炎症疾患があると1,000倍以上に急速に増加する蛋白質です。

 このような急性の状態でない場合でも血管内の慢性的な炎症によりCRP値が軽度に増加し、このことが直接的あるいは間接的に血管内皮機能障害や血液凝固系の促進を引き起こし、動脈硬化の進展へとつながります。高感度CRP測定では通常検出できない微量なCRP値を測定することで、軽度な慢性的な炎症状態を確認することができると考えられています。


血清高感度CRPが高い場合にはどうしたらよいでしょうか?

 高感度CRP値は生体内の炎症の程度を反映する敏感な指標ですので、一般的な炎症性疾患の診断に加えて、動脈硬化性疾患の発症リスクの予測にも有用と考えられます。


 高感度CRP値が高い場合、タバコや肥満が原因となっている場合があります。 そのような場合には循環器疾患の予防のためにも禁煙や体重のコントロールが重要となります。

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