身体活動に関する質問調査の妥当性と再現性

岩井伸夫


 運動不足などの身体活動量の低下と生活習慣病との関連が注目されています。 JACC Studyで用いられた自記式問診票には、身体活動量と生活習慣病の死亡との関係を明らかにするために、身体活動に関する質問が入っています。 JACC Studyで身体活動と死亡やがん罹患との関連を検討するためには、身体活動がきちんと把握されていることが重要です。そこで、この質問調査の妥当性と再現性について調べました(Journal of Epidemiology 11 211-218 2001)。


JACC Studyの身体活動に関する質問

 個人の身体活動量を評価し、その後の生活習慣病の死亡との関係を調べることにより、生活習慣病の予防のためにはどの程度身体を動かせばよいかがわかるようになります。本来身体活動量を調査するためには、個人の1年間の生活を詳細に調べたり、測定器をつけてもらって計測する必要があります。しかし、JACC Studyのような多数の人を対象として生活習慣を総合的に調べる疫学研究では調査に制約があるため、表1のような簡単な質問により身体活動量を調査することとなりました。すなわち、「スポーツ、運動」に関する質問(Q1、Q3)と「歩行時間」に関する質問(Q2)です。


 この質問調査により個人の本当の身体的活動量をどの程度正確に調査できるのか(妥当性)、また、この質問調査を繰り返して行った時、どの程度同じ結果が得られるのか(再現性)を調べました。

【表1】身体活動に関する質問


JACC Studyの身体活動に関する質問調査の妥当性と再現性

 cccJACC Studyで調査が行われた10地域を含む12の地域、職域に属する1730人の方にお願いし、同じ人にJACC Studyの「スポーツ、運動」に関する質問調査(Q1、Q3)と、1年間のスポーツ、運動習慣を詳細に聞き取る面接調査の両方を実施し、両者の調査結果を比較しました。両者の調査結果には中等度の相関が認められ、質問調査により個人の「スポーツ、運動」の活動量をある程度正確に調査できること(妥当性)がわかりました。


 また、同様に1075人を対象にして、同じ人にJACC Studyの「スポーツ、運動」及び「歩行時間」に関する質問調査(Q1~Q3)を約1年間隔で2回実施して、2回の調査結果を比較したところ、中等度程度の再現性のあることがわかりました。なお、今回の研究では「歩行時間」に関する質問調査の妥当性については調査しませんでした。


 11万人の方を対象に行われているJACC Study も10年以上が経過し、日本人におけるさまざまな生活習慣と病気(特にがん)との関係が明らかになりつつあります。その中で身体活動についても検討されていきます。生活習慣病の予防のためにはどの程度身体を動かせばよいのか、結果が注目されます。

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