40歳から79歳の女性における、生殖歴や肥満度(BMI)と卵巣がん死亡との関連性:JACC Studyからの最新の証拠

Khan MMH


 卵巣がんのリスクと関連する可能性がある要因には、生殖歴、肥満度、食生活習慣などがあります。 そこで、2009年までという長期の観察結果に基づいて、生殖歴や肥満度とその後の卵巣がん死亡との関連性を検討し、発表しました。

 (Khan MMH et al. Ovarian cancer mortality among women aged 40-79 years in relation to reproductive factors and body mass index: latest evidence from the Japan Collaborative Cohort (JACC) Study. J Gynecol Oncol 2013; in press.)


 下図に示したように、年齢などの要因を調整した結果、結婚している人に比べ、独身の方で卵巣がんのリスクが上昇していました(ハザード比=5.54)。


 独身という婚姻状態は、閉経前発症の場合でも(ハザード比=3.07)、閉経後発症の場合でも(ハザード比=4.58)、卵巣がんのリスクを高めていましたが、閉経後発症の卵巣がんとより強く関連していました。


 独身の女性では妊娠や出産の機会が少ないので、妊娠や出産を経験していないという生体内の環境が卵巣がんのリスクを高める機序として考えられます。例えば、排卵によって卵巣の表層上皮細胞が傷害を受けることが卵巣がんリスクを高めるという説があります。


 そうであれば、妊娠中は排卵が停止しますので、妊娠や出産は卵巣がんリスクを低下させますが、逆に、妊娠や出産の経験がないと、卵巣がんリスクは上昇することになります。その他、妊娠中にできる生体内のホルモン環境(性腺刺激ホルモン分泌の低下や黄体ホルモン分泌の上昇)が卵巣がんのリスクを低下させるという説もあります。


 日本人女性は、どの年齢層でも独身者の割合が以前よりも大きくなってきています。従って、今回の結果から、日本人女性において近年、卵巣がん罹患率が上昇している原因の一つとして、独身者の割合が増大していることがあるという可能性が示唆されます。

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