JACC Studyにおける帰結の指標としてのがん罹患の調査  

森満


 JACC Studyでは、がん罹患と関連する要因の研究を行っています。がん罹患情報の収集に関して論文に発表しましたので
(Mori M et al. Survey for incidence of cancer as a measure of outcome in the JACC Study. J Epidemiol 2005; 15 (Suppl): S80-S85.)、Q & A形式で簡単に説明します。


1.JACC Studyのようながんの前向きコホート研究では、どのような項目を追跡調査しているのですか。

 がんの前向きコホート研究では、研究に協力くださっている皆様を追跡して、がんに罹ったかどうか、あるいは、がんで亡くなったかどうかを把握します。
そして、研究の初めにいろいろ調べた要因への曝露があるかないかで、罹患率や死亡率に差がないかを検討します。追跡調査の結果で把握されるがん罹患やがん死亡を帰結outcomeと呼ぶことがあります。

2.JACC Studyでは、どれくらいの地域で帰結outcomeとしてのがん罹患に関する追跡調査が行われているのですか。

 JACC Studyでは、45地域の約11万人について、帰結outcomeとしてのがん死亡に関する追跡調査が行われています。そして、そのうちの24地域、約6万5千人については、
がん罹患に関する追跡調査も行われています。

3.JACC Studyでは、帰結outcomeとしてのがん罹患に関する追跡調査は、どのような方法で行われているのですか。

 がん罹患に関する追跡調査が行われている24地域のうちの20地域では、地域がん登録を活用し、地域がん登録と照合して研究対象者のがん罹患の有無を把握しています。それ以外の4地域では、地域の基幹病院で調査をしたり、研究対象者に直接がんに罹ったかどうかを伺い、該当する医療機関で確認するという方法で調査しています。

4.帰結outcomeとしてのがん罹患に関する追跡調査で大切な点は何ですか。

 研究に協力くださっている皆さんががんに罹ったかどうかをできる限り完全に把握する、ということが大切です。がんの把握の完全性completenessの指標の一つにMI比があります。これは、がん死亡率(Mortality rate)をがん罹患率(Incidence rate)で割った値です。この値が0.7以上であれば、がん罹患の把握漏れが相当あり、不完全であることが示唆されます。

5.JACC Studyでは、がんの把握の完全性completenessは保たれているのでしょうか。

 今回の研究結果から、がん罹患調査を行っている24地域中23地域でMI比が0.7未満でした。しかし、地域がん登録を活用していない1地域では、MI比が0.7以上でした。従って、この地域では、がん罹患の把握の改善が望まれます。いずれにしても、
このような研究を進めるためにも、日本全体で地域がん登録が確立し、活用できるようになることが切望されます。


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