血清SOD活性と生活習慣の関連

野島正寛


 生体における活性酸素は殺菌作用を持ち感染防御などに働く一方で、体内に過剰に蓄積すると有害な作用を持つと考えられており、癌や心血管疾患などとの関与が知られています。SOD(スーパーオキシドディスムターゼ)はその活性酸素を無害化する働きをもっているため、これまで多くの病気についてその活性と発症との関連が研究されています。今回の研究では、1万人を超える人々について血清中のSOD活性と性差、年齢、肥満度、生活習慣の関連を調べました。


 まず、性別については、男性より女性の方がSOD活性が高いという結果が得られました。女性については、年齢が高くなるほど血清SODの値が高くなるという傾向も見られています。また、いずれの性別においてもBMI(肥満度を示す指数)が高いと血清SODが低い傾向が見られました。生活習慣との関連では、男性において喫煙本数が多い場合に血清SODが低く、女性において飲酒習慣があると血清SODが高いという結果が得られました(掲載誌 Asian Pac J Cancer Prev 2009; 10: 37-40.)。


 有害な活性酸素を無毒化するわけですから、SOD活性は高いほど良い、というようにも考えられますが、逆に、活性酸素が過剰になった場合に上昇すると考えると、SOD活性が高いことが良いこととは言えません。生体では、このような生理活性物質は複雑な機構のもと制御されており、一概に高いから良い、低いから悪いということはできません。ですので、この結果の解釈は非常に難しいものといえます。


 男性は一般的に女性より短命であること、喫煙や肥満はさまざまな病気のリスクとなることなどを考えると、SOD活性が低いことは何らかのリスクと関連があるように思われますが、種々の疾病発症頻度の高い高齢者でSOD活性が高いことは奇妙な印象を受けます。これについては、逆にSOD活性が高いからこそ長生きできた、ということもできますが、今回の研究では因果関係は証明できません。また、やせ(BMI 18.5未満)の方は多くの研究結果で死亡や疾病発症のリスクが高いと考えられていますが、これらの方で血清SOD活性が高いということは、一概に高ければ良いとは言えない理由の一つになります。

 以上のように、今回の研究結果の解釈には非常に難しい問題が存在しますが、血清のSOD活性には性差が存在することや、年齢が高いほど高くなる傾向にあること、いくつかの生活習慣と関連が見られることが明らかになった、ということは結論できます。ただ、病気との関連や、これらの結果の解釈については今後の研究を待つ必要があるでしょう。

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