生活習慣と卵巣がん死亡の関係

坂内文男


 私達は1988年から1990年にかけて、全国45か所で11万人以上の方に御協力をいただき生活習慣に関するアンケート調査を行いました。そして、約15年後の2003年末まで観察を行い、生活習慣と卵巣がん死亡の関連を調べました。症例は全部で77例ありました。


 詳しい結果はNutrition & Cancer 誌(2007年57巻2号138-145ページ)に掲載されています。

 ここに主な結果を問い(Question) &回答(Answer)形式でご報告します。


Q1:卵巣がんの死亡はどのような生活習慣と関係しますか。

 A:国内および諸外国の報告をみますと、肥満、運動不足があると卵巣がんに罹りやすいといわれています。今回の結果では、統計学的には有意ではありませんでしたが、Body Mass Index(BMI:体重kgを身長mの2乗で割った値)が 25以上の人は25未満の人とくらべ卵巣がんの死亡が増加していました。一方、週に1~2時間以上運動をする人はほとんどしない人にくらべ死亡リスクは減少していました。


Q2:妊娠回数や出産回数との関係はどうでしょうか。

 A:今までに多くの疫学研究で妊娠回数や出産回数が卵巣がんと関係することが報告されています。私達も妊娠歴のある人は一度も妊娠したことがない人にくらべて卵巣がんで死亡する危険が低いとの結果を得ました。また、子どもを持つ人は、子どもを一人も持たない人にくらべて卵巣がんで死亡する危険性が低いこともわかりました。


Q3:卵巣がんを予防する食習慣はあるのでしょうか。

 A:今までに、卵巣がんの予防に役立つのではないかと推測されている食品があります。代表的なものとしては、大豆製品である「豆腐」類が挙げられます。大豆製品はイソフラボンを含み、この成分が卵巣がん発症を抑制するのではないかと推測されています。今回の研究では、毎日豆腐を食べる人は卵巣がん死亡のリスクが低いことが示されました。この結果から直ちに豆腐に卵巣がん予防効果があるとは結論できませんが、その機序を調べることは今後の重要な課題と思われます。また、その他、今回は魚の干物と白菜を多く摂取することが、卵巣がん死亡のリスクと関連することが示されましたが、このような報告は現在までにほとんどなく、さらなる研究が必要と思われます。


結語:卵巣がん予防にむけて。

 今回得られた結果をまとめますと卵巣がん予防のためには以下のことが重要と考えられます。
 1. 体重を増加させず、BMIを25以上にしない。
 2. 運動習慣をつける。
 3. 大豆食品を適宜摂取する。
 また、妊娠出産は予防的に働くと考えられます。

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