多発性骨髄腫による死亡と関連する要因の検討

坂内文男・森 満


 私達は1988年から1990年にかけて、全国45か所で11万人以上の人達に御協力をいただき生活習慣に関するアンケート調査を行いました。そして、約15年後の2003年末まで観察を行い、多発性骨髄腫による死亡と関連する要因を検討しました。調査の対象となった方々は、40歳から79歳までの男性46,157人、女性63,541人です。観察期間中に多発性骨髄腫で死亡した方は98人(男性49人、女性49人)でした。

 詳しい結果はAsian Pacific Journal of Cancer Prevention誌(2006年7巻575-581ページ)に掲載されています。ここに主な結果を問いQuestion & 回答 Answer形式で示します。


Q1:多発性骨髄腫による死亡は年齢・性別と関連があったのでしょうか。

 A:今回の結果では、60歳以上の人は40歳代の人にくらべて死亡リスクが高いことがわかりました。数値で示しますと、60歳から69歳までの人は約5倍、70歳から79歳までの人は約9倍でした。そして、同じ60歳以上でも男性は女性よりも死亡リスクが高い結果となりました。


Q2:生活習慣と多発性骨髄腫による死亡の間には関連があったのでしょうか。

 A:女性ではBody Mass Index(BMI:肥満の指標・体重kgを身長mの2乗で割った値)が30以上であることが死亡リスクと関連しました。また、男性では一日の歩行時間が30分未満であることも死亡リスクと関連しました。


Q3:その他にはどんな項目と関連していたでしょうか。

 A:女性では胃潰瘍の既往と、働いている職場で人間関係に悩みがあることが死亡リスクと関連しました。


結語:

 高齢の男性は、若い方や女性にくらべ多発性骨髄腫の死亡リスクが有意に高いことが示されました。このことは、他の疫学研究の報告と一致しています。しかし、女性で関連の見られたBMI、胃潰瘍の既往、職場の人間関係の悩み、男性で関連が見られた身体活動量については、生物学的なメカニズムも含めて今後さらなる検討が必要と考えています。

copy_rihgt_JACC