喫煙、飲酒習慣と胆のうがん

柳生聖子


 胆のうがんはかかると死亡することが多いがんである。しかし、どのような要因が胆のうがんの発生に影響するかについてはこれまで明らかではありませんでした。そこで私たちはJACC studyのデータを用いて、喫煙習慣、飲酒習慣と胆のうがんの関係を分析し、専門誌に報告しました(Int J Cancer 2007 924頁)。


 今回の検討では、45地区の住民で1988-1990年に生活習慣に関する調査に回答した人のうち、回答時に年齢が40歳以上で、消化器のがんと診断されたことがない113,496人(うち65,740人が女性)を対象としました。この対象者について、2003年の末まで追跡し、生存しているかどうかと、亡くなった場合には死因を調べたところ、期間中に165名(男性70名、女性95名)の方が胆のうがんによって亡くなっていました。


喫煙と胆のうがん

 女性では、年齢と飲酒の影響を調整すると、喫煙している人は喫煙したことがない人に比べ2.00 (95%信頼区間は0.91-4.42)倍、胆のうがんになる危険が大きくなりました。男性では、年齢と飲酒の影響を調整すると、喫煙したことのない人に比べて、喫煙する人は2.27(95%信頼区間は1.05-4.90)倍、1日21本以上喫煙する人、1日喫煙本数×年数が801-1000の人は、それぞれ3.18 (同1.18-8.53)倍、3.44 (1.40-8.45)倍、胆のうがんなる危険が大きく、1日本数、喫煙本数×年数とも、多くなるほど有意にリスクが大きくなる傾向を認めました。


飲酒と胆のうがん

 男性では、飲酒に関しても量が多くなると胆のうがんになる危険が有意に大きくなり、飲酒しない人に比べて、 1日エタノールに換算して72グラム(日本酒で3合)以上飲酒する人は、3.60 (1.29-9.85)倍、胆のうがんにかかる危険が大きいことがわかりました。しかし、女性では、飲酒習慣の影響ははっきりしませんでした。


 今回の検討により、喫煙は男性女性とも胆のうがんにかかる危険を上昇させること、飲酒は男性で危険を上昇させることが明らかとなりました。しかし、女性では飲酒する人が少ないこともあり、影響ははっきりしませんでした。喫煙や過度の飲酒は、胆のうがん以外のがんや循環器疾患でも危険因子と考えられています。健康のために、たばこを吸いださないこと、あるいは禁煙すること、過度の飲酒を控えることをお勧めします。

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