地域高齢者の介護予防、健康寿命延伸を目的とした生活習慣と健康状態の実態調査(JAGES ATTACH)

背景

日本は世界一の長寿国ですが、平均寿命の延伸に伴い平均寿命と健康寿命の差が生じており、平成22年における平均寿命と健康寿命の差は男性で 9.13 年、女性 で12.68 年と報告されています(厚生労働省、2012)。この平均寿命と健康寿命の差の拡大は介護が必要な高齢者の増加を意味しており、それに伴う社会保障費の増加は我が国の高齢者介護の重要な問題となっています。一方、高齢者の6割は介護が必要となっても自宅で生活したいと考えており、施設入所を希望する方は2割にも満たないとされています(厚生労働省、2003)。しかし、平成24年の介護給付実態調査によると要介護区分が高くなるに従い特別養護老人ホーム等の施設サービスの利用が急増することが示されており、日常生活の自立が阻害されると施設に入所せざるを得ない現状があると指摘されています。これらのことから、健康寿命の延伸に資する支援体制の構築は、医療費や介護給付の抑制といった社会保障負担の軽減のみならず、高齢者が住み慣れた地域や自宅で生き生きと自立した生活を送ることができるという高齢者の尊厳の保持にも寄与すると考えられます。

高齢者の方が「住み慣れた地域の中で、健康で活力あふれる生活」を送るためには、要介護状態や病気につながる生活習慣を改善していくことが必要です。しかし、「健康長寿、つまり健やかに老いるための生活習慣」についてはまだ不明な点が多くあります。そこで、当教室では、2014年から北海道東川町、東神楽町、美瑛町において地域在住高齢者の介護予防、健康寿命延伸を目的とした生活習慣と健康状態の実態調査を実施しています。

方法

本研究は、JAGES (Japan Gerontological Evaluation Study) (日本老年学的評価研究http://www.jages.net/)との共同プロジェクトです。 ATTACHはAT TAisetsu Community Hokkaidoを指します。
本研究の対象者は、東川町、東神楽町、美瑛町に居住し、2014年6月の時点で要介護認定を受けていない70〜74歳のJAGES2013参加者約1,100名です。調査項目は、運動機能として身体活動や転倒、栄養状態として食事、うつ状態またはうつ傾向、さらに口腔機能や社会参加などとし、質問紙による調査を行いました。質問紙による調査に回答して頂いた対象者のうち、より詳細な調査に同意くださった約300名の方には、家庭訪問により認知機能、睡眠状況の聞き取りを行い、あわせて身長、体重、握力の計測を行いました。さらに、リストバンド型加速度センサー付き活動量計を用いて歩数、運動強度、運動時間といった日常における身体活動量の測定に2週間協力いただきました。

本研究では、その後の健康状態や要介護状態への移行、死亡などを追跡することで、どのような生活習慣、健康状態が健康寿命に影響するのかを検討していく予定です。

共同研究機関

北海道大雪地区広域連合(東川町、東神楽町、美瑛町)、千葉大学、東京大学、株式会社日立製作所

共同研究機関リンク先URL

千葉大学

東京大学