在宅高齢者を対象とした介護予防型家庭訪問の開発

背景と目的

介護支援が必要とされる認知症高齢者は増加の一途をたどり、2025年には323万人になると推測されていますが、その対策は十分に確立されていません。当教室では、2007年より在宅高齢者を対象として作業バランス自己診断を改変した『在宅高齢者生活機能向上ツール(Functioning Improvement Tool: FIT)』開発し、認知機能改善を目的とした家庭訪問の無作為化比較試験を実施しています。

対象と主な結果

 対象者は、65歳以上の北海道新ひだか町または日高町市街地在住者のうち、特定高齢者または軽度要介護者に該当し、研究への同意を得られた252名です。対象者を無作為に介入群(128名)と対照群(124名)に割り付け、介入群には、約1時間/回の在宅高齢者生活機能向上ツールを用いた家庭訪問を、3ヶ月間を行いました。対照群には、家庭訪問は実施しませんでした。その結果、対照群と比較して介入群の認知機能が有意に改善し、特に、軽症の認知機能低下群において認知機能改善効果が得られました。

 これらの結果より、我々が開発を手がけたFITを用いた家庭訪問は、今後も老年人口が増加する我が国における在宅高齢者の認知症予防、および認知機能低下による要介護状態への移行を抑止する有用な手法となる可能性が示唆されました。しかしながら、介入は3ヶ月間と短期であり、長期的に介入を行った場合の効果については今後の研究課題として検討しています。

共同研究機関

北海道大学環境健康科学研究教育センター

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