抗酸化ビタミン摂取量と循環器疾患死亡率 JACC study

久保田芳美


 ビタミンA, E, Cなどの抗酸化ビタミンは、動脈硬化の進展を抑制すると期待されています。しかしながらアジア人を対象とした研究報告はほとんど見当たりません。日本人において野菜、果物はこれら抗酸化ビタミンの主な摂取源であり、野菜、果物の摂取が循環器疾患のリスクを低下させることが報告されていますが、それが抗酸化ビタミンの影響であるのかについては明らかではありません。 そこで、私達は抗酸化ビタミン摂取量と循環器疾患の死亡率について分析しました(Stroke 2011;42: 1665-72)。


ビタミンCの摂取が多いと循環器疾患の死亡リスクが低下する

 食品摂取頻度調査票(FFQ)に回答した循環器疾患の既往のない40-79歳の男性23,119人、女性35,611人を対象とし、17年間追跡しました。男女別にビタミンA、C、Eの摂取量により5グループに分け、循環器疾患に関連すると既にわかっている他の因子を統計的に調整して、追跡期間中の循環器疾患の死亡リスクを分析しました。


 追跡期間の間に、循環器疾患による死亡が2,690件(脳卒中1,227件、虚血性心疾患557件)発生しました。女性では、ビタミンC摂取量が最も多い(中央値150 mg/日 平均値154 mg/日)グループは最も少ない(中央値65 mg/日 平均値62 mg/日)グループと比較し、循環器疾患死亡リスクは0.79倍、脳卒中死亡リスクは0.70倍、虚血性心疾患死亡リスクは0.63倍と、ビタミンC摂取が多いグループでは死亡リスクが有意に低いことがわかりました(図)。男性でも、ビタミンC摂取量と循環器疾患死亡リスクとの間に同様の弱い関連がみられました。一方、男女ともビタミンA、Eの摂取量と循環器疾患死亡リスクとの間に関連はみられませんでした。


 欧米では既にビタミンA、C、E摂取量と循環器疾患リスクの関連についての研究報告がいくつか出ており、総合的に判定してビタミンCとビタミンEの十分な摂取は循環器疾患のリスクを低下させるとされています。男性でビタミンC摂取量と死亡リスク低下との関連が弱いという本研究の結果は、欧米の研究報告と一致しています。男性では他の様々な循環器疾患危険因子の影響が強いことでビタミンCの抗酸化作用の影響が弱まる可能性などが考えられます。


 しかしながらサプリメント類の利用によりビタミンCをたくさん摂取した場合の身体への長期的な影響については、世界的に見ても十分な知見は得られていません。 本研究の結果から、通常の食事からの十分なビタミンCの摂取が循環器疾患死亡リスクを低下させることがわかりました。

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